ヘルシンキのコーヒーファンたちに惜しまれながらも2019年11月に閉店したカフェ「Good Life Coffee」の跡地、といえばピンとくる方も多いのではないでしょうか。
そこに2020年10月1日、国際コーヒーデイにオープンしたポップアップカフェ「One Day Coffee」に早速訪れてきました。
ドアには控えめだけれど洗練されたロゴ
Good Life Coffeeは大好きなカフェだったので、わたしの脚がその場所を覚えています。
吸い寄せられるように向かうと、ドアにシンプルで控えめだけれど洗練されたロゴが。
わくわくドキドキしながら、そのドアを開けて中に入ります。
店内はGood Life Coffeeのときのレイアウトはそのままに、もっとスッキリとミニマルなインテリアになっていて、「コーヒー一本で勝負する」という気合が感じられました。
フィンランドでは注文時にお会計をするのが一般的ですが、まずは席につくように言われました。
すると、まるでファインダイニングのようにバリスタさんがメニューを持って来てくださって、丁寧に説明してくださいました。
さっきまで「今日は無難にカプチーノでも飲むかな」と思っていたのですが、メニューに書いてあるのはハンドドリップ・エスプレッソ・フィルターのみ。
フィルターコーヒーについては、お水も水道水ではなく、バリスタさんが「作って」いるものを使用しているそうです。
すごいこだわりです。
エスプレッソの下に「We prefer good espresso as is but if you want milk, it is included in the price.(本当においしいエスプレッソをそのままお楽しみいただくことをおすすめしますが、もしご要望であればミルクは価格に含みます。)」と書かれています。
なので、メニューにはありませんがカプチーノなども注文は可能のようです。
わたしはエスプレッソは苦くて苦手だったのですが、そこまで言うならちょっと試してみよう、と思いひとつ選んで注文してみました。
すると「エスプレッソで飲むのなら、こちらの方がもっと風味の変化が楽しくておすすめです」と遠慮がちにおすすめしてくださったので、迷わずそちらに変更しました。
写真撮影も快諾してくださったので、写真を撮りつつ、エスプレッソを淹れる様子を観察させていただきました(写真は他のお客さんに別のコーヒーを淹れている様子)。
エスプレッソを淹れるときのステップはたくさんありますが、その工程における所作のひとつひとつが美しくて、とても真剣な表情でコーヒーを淹れる様子は、一杯一杯に魂を込めているように感じました。
いよいよわたしのコーヒーができあがり、バリスタさんがそれを小さなスプーンで味見し、しかめっ面をしていたので不安になりましたが、わたしの方に運びながら
「ん~、この一杯は本当に最高。フローラルな香り、フルーティーさ、そしてはちみつの風味がふんわり香って…とにかくおいしいのでお楽しみください。温度とともに味が変化していくので、それも是非楽しんでください。今お水をお持ちしますね。」
と笑顔で説明してくださいました。
少し緊張しながら一口味わって、本当にびっくり。
わたしの中のエスプレッソの概念を完全にぶち壊されました。
「濃いコーヒーは苦い」と思っていましたが、全然そんなことはなく、苦みの中にもフローラルな香りやフルーツのような酸味、そして少し甘みさえ感じます。
少しずつ時間をあけて、冷めていくにつれて変わっていく味も楽しみました。
特に最後の一口には、冗談抜きに雷に打たれたような衝撃を受けました。
今までは冷めたコーヒーは酸味が強くなっておいしくないイメージしかなかったのですが、その酸味がフルーツのようなおいしさだったのです。
バリスタはフィンランド・バリスタ・チャンピオンシップ優勝者
それもそのはず、ここのバリスタのKaapo Paavolainen(カーポ・パーボライネン)さんはフィンランド・バリスタ・チャンピオンシップの2020年チャンピオンです。
ほかにも2018年フィンランド・ブリューワーカップ、2019年ラテアート、2019年バリスタ・チャンピオンシップで2位になった、輝かしい経歴を持っています。
でも実際にお話ししたときはとても物腰が柔らかくて謙虚で、なんだかそんなお人柄がコーヒーやカフェにも反映されている気がしました。
コーヒー豆のバリエーションは随時変更あり
テーブルの端に貼られているQRコードをスキャンすると、メニューが出てきました。
2020年10月初旬の時点ではこのメニューでしたが、「今あるコーヒー豆の在庫がなくなり次第、違う種類に変更する。お客さんを飽きさせたくないし、たくさんの新しい経験をしてほしいから」とおっしゃっていました。
気に入ったコーヒー豆があったら、なくなってしまう前にその場でレジの横の棚から購入するのがいいかもしれません。
今回はすべてアメリカから輸入されたものでした。
このポップアップカフェは来年2月頃まで
あまりにコーヒーに感動したので、カーポさんとお話しさせていただきながら、疑問に思ったことを率直に質問してみました。
まず、なぜポップアップなのかについては、この場所にはAfromamaというカフェが開店する予定で、それまでの5~6ヶ月の間だけカーポさんがこの場所でポップアップとしてカフェを営んでいるそうです。
このAfromamaについてもカーポさんがエスプレッソマシンやコーヒー豆についてのコンサルトをしているとのことでした。
また、ここの場所がGood Life Coffeeの跡地なので、なにか関係があるのかとお聞きしてみたところ、全く関係はないとのこと。
そして何よりこんなにおいしいコーヒーを5~6ヶ月しか楽しめないのは悲しいので、ご自身のカフェを開く予定はないのかとお聞きすると、今考えている最中で、いい場所を探しているんだとおっしゃっていました。
ご自身の焙煎所についても、今秘密のプロジェクトを仕込み中とのこと。
そのときお店にいるお客さんひとりひとりに真摯に向き合い、一杯一杯のコーヒーに情熱と魂を込めているカフェは初めてだったので、とても感激しました。
「期間は短いけれど、その間は世界でいちばんおいしいコーヒーを出す自信がある」と優しい笑顔で語る姿がとても印象的だったし、その言葉に嘘はないなと思いました。
このポップアップが営業している間は何度も足を運びたいし、彼のカフェの開業も今から楽しみです。
カフェ情報
- 店名
One Day Coffee Popup - 電話
なし - ホームページ
https://www.instagram.com/onedaycoffee_co/ - 営業時間
2021年2月頃(予定)までの期間限定ポップアップ
ポップアップカフェ終了
月 – 金: 10:00 – 17:00
土・日: 定休日 - 住所
Kolmas linja 17, 00530 Helsinki
祝日など、定休日・営業時間は行く前にホームページで必ずチェック!
(2021年1月11日追記)
現在このポップアップは終了し、2021年1月11日から焙煎所としてOne Day Coffeeがオープンしました!詳細はまた別の記事で書きたいと思います。
現在この場所ではAfromamaという、One Day Coffeeのバリスタさんがコンサルタントとして携わったカフェが営業中です。