フィンランドの森でブルーベリー摘み!初心者がひとりで行っても見つけられるの?

7月中旬頃から、フィンランドはブルーベリー摘みの季節です。

フィンランドでは「自然享受権(フィンランド語でJokamiehen Oikeus)」という特別な権利があって、私有地でなければ自然を尊重しながら、森や沼地を自由に散策し、きのこやベリーを採ったりして自然の恵みをいただくことができます。

わたしはこの自然享受権を味わい、自然の恵みをいただき、お料理して食べてみることに憧れていました。

そして「今年はブルーベリーが豊作らしい。森に行くとそこらじゅうにブルーベリーがあるらしい」と聞き、これは行くしかないと思ったお天気のいいある日。

夫に「ねえ、森にブルーベリーを摘みに行かない?」と聞いてみました。

すると夫は「うーん、今日はやりたいゲームがあるし、蚊に刺されたら嫌だから行かない」と一言。

えっ?期待していた返事と違うんですけど?

しかしわたしは思い立ったらやらずにはいられない性格なので、「森でクマに食べられて帰って来ないかもしれないけどいいんだね?後悔しないんだね?」と言い残し、ひとりで出掛けたのでした。

といっても、どこにブルーベリーがあるのか、どんな木になっているのかも知りません。

インターネットで検索してみたものの、あまり詳しい情報は見つけることができませんでした。

そこでひとまずGoogleマップで近所の森を探し、少し前まで近所に住んでいたフィンランド人のお友達に「ブルーベリーを摘みたいんだけど、こういうとこにあるよとかいう豆知識ある?あと、今からこの森に行こうと思ってるんだけど、ここにあるかなあ?」と、メッセージを送ってみました。

すると返事は「うーん、その森行ったことないからわかんないな。でも森ならどこでもあるんじゃない?」となんともざっくり。

しかしそのあとフィンランドに住む日本人のお友達からTwitterでブルーベリー摘みの情報をいただくことができました。感謝です。

万が一行先の森にブルーベリーがなくてもいいお散歩になるな、と片道40分の距離にある森へ、K-POPを聞いて小躍りしながら向かいました。

いざ森へ!

18時頃でしたが、少し西に傾いた陽に照らされ、身体が心地よくぽかぽかしてきます。

途中、ベリーピッカー(フィンランド語でmarjanpoimuri)とバケツを持ったファミリーとすれ違い、これはきっといけると思いました。

わたしは小さなタッパーを4つ持ってきただけだったので、「これで足りなかったらどうしよう?リュックにそのまま詰めるか?」などと、捕らぬ狸の皮算用ならぬ、摘まぬベリーの粒算用をしたりしながら、更に歩きます。

そして、森に到着。

はい、着きました、着きましたが…えっとぉ…ブルーベリーってどこにあるのでしょうか?

少しあたりを見回しつつ、少し森の奥へ進んでみます。

わたしは都会育ちなもので、自然にあまり慣れておらず、「毒ヘビが草むらに潜んでいて噛みついてきたらどうしよう、マダニに噛まれたらどうしよう、落とし穴があったらどうしよう」などとビビり倒して、ものすごくゆっくりと一歩一歩足元を確認しながら進みました。

しかし森はただ静かにそこに広がっているだけで、ディズニー映画のように「ブルーベリーはこっちにあるわよ~」などと歌って教えてくれる小鳥さんもいません。

やはり初心者ひとりは無謀だったか、としょんぼり下を向くと…。

あるではないですか!ブルーベリーっぽい木の実が!

うん、多分これだな、と思ってあたりを見回すと、同じような草がものすごい量生息しています。

なるほどそういうことか、ブルーベリー摘みって思ったよりもかなりハードルが低いなとここで気づきました。

たとえばこの小道なんて、両脇全部ブルーベリーの木です。

胸の高鳴りといったらありません。

すかさずリュックからベリーピッカーを取り出し、ブルーベリーがなっているあたりにざくざくっと差し込み、ぎぎっと引っ張ります。

するとポロポロッという音とともに、ブルーベリーが中に落ちます。

やったー!ひとりでできるもん!

…そう思ったのですが、豊作だと聞いていたのに、あまりブルーベリーがなっていません。

はて、なぜだろうと考えていたところに、おんぼろ自転車をキーコーキーコー鳴らしながら、おじいさんがヨロヨロと小道をあがってきました。

荷台には巨大バケツを3つとベリーピッカーを括り付けて、重そうに坂を上がっていきます。

なるほど、もうみんな摘まれてしまったんだなと気づきました。

早い者勝ちなわけですね。

そういう目で見てみると、確かに葉っぱがところどころちぎられたような跡があります。

しかし諦めたらそこで試合終了なので、もっともっと森の奥へ進んでいきました。

そのとき、ブルーベリー摘みの宿敵に気づきます。

蚊です。

少し油断すると、超巨大な蚊が、耳元にプィ~ンと飛んでくるのです。

音だけで推測すると、全長20cmぐらいあるんじゃないか、というぐらいけたたましい音を放っています(実際は…1.5cmぐらい?)。

わたしはこんなこともあろうかと長袖ウィンドブレーカーを持ってきて森の入り口で着ていたので、ポニーテールを振り回しながらディクシーコングのように敵をはねのけて進んでいきました。

(しかしあとで気づいたのですが、手の甲と脚をジーンズの上から刺されていました…かゆい!)

ちょっと穴場っぽいところに着くと、たくさんブルーベリーがなっているではありませんか!

歓喜すると同時に、心配性なわたしの脳裏に東京のスポーツジムでの記憶がよみがえりました。

ジムのヨガクラスで空いている場所にヨガマットを敷いた途端、近くのおばさまに「あ、そこ○○さんの場所だから。あっち行きなさい」と言われたあの記憶…。

こわくなってきましたが、周りには誰もいません。

しかもわたしには自然享受権がある。これは権利だ!と急に強気になり、どんどん摘んでいきます。

そしてだんだんベリーピッカーを使うよりも手で一粒ずつ摘んだほうがいいことに気づきました。

というのも、ベリーピッカーを使うと茎や葉っぱ、まだ未熟な実ももぎ取ってしまうので、ブルーベリーがかわいそうだし仕分けが手間なのです。

ベリーピッカーに挟まってつぶれたブルーベリーを取り除いたり、手で摘んでいるうちに、わたしの右手は完全にサスペンスドラマの犯人状態に。

そんなことは気にせず調子に乗ってルンルン摘んでいたら、蚊が襲ってきたリ、何度も危うくクモの巣に手を突っ込みそうになってしまいました。

そして1時間強続けたところ、いい加減腰が痛くなってきました。

それもそのはず、ずっとミレーの落穂拾いの姿勢だったのですから。

手元のブルーベリーは、タッパーひとつがほぼいっぱいになるぐらいになりました。

きっと、お友達や家族と複数人でもう少し早い時期に行けば、相当な量がとれると思います。

少しお腹もすいてきたので、森に「恵みをありがとう」と心の中で伝え、このへんで切り上げて家路についたのでした。

20時ぐらいで、この明るさです。

家に帰って摘んだブルーベリーの重さを測ってみると、274g。

タッパーの重さが100gだったので、174g収穫です。

はじめてにしては上出来ではないでしょうか?

自分で摘んだブルーベリーを実食

未熟なものや潰れしまっているものを取り除き、水で洗い、キッチンペーパーで水分を吸い取って少し味見。

お店で買うもののように大粒ではないので少し酸味が強いですが、本当においしい

これが自分で摘んだブルーベリーかぁ…と感動しました。

夫もうれしそうに食べ、「おいしい!」とバクバク食べそうだったので、制止。

心地いい疲労感と、ひとりでできた達成感に包まれながら眠りにつきました。

翌朝、冷蔵庫に大切に入れておいたブルーベリーを取り出し、ヨーグルトとグラノーラと一緒にいただきました。

お…おいしい!

自然が恵んでくれた甘酸っぱい宝石です。

でもブルーベリーパイを作りたいので、控えめにしておきます。

いよいよ念願のブルーベリーパイ作り

翌日、いよいよ念願のブルーベリーパイ作りです。

今回参考にしたレシピはフィンランドの人気ブロガーAnniさんのこのレシピです。

その名も「おばあちゃんのブルーベリーパイ」。

材料もとってもシンプルで、薄力粉・砂糖・バター・玉子・ヴィーリ・ブルーベリー・バニラシュガー・ベーキングパウダーです。

ヴィーリ(viili)はフィンランドで大人気の乳製品で、とろっとした食感が特徴的です。

生地をまず10分ほど焼いて、そこにブルーベリーを並べ、ヴィーリで作ったソースを流し込みます。

ブルーベリーの量に合うちょうどいいパイ型がなく、ケーキ型で代用。

ヴィーリのソースを味見しただけでいい味だったので、これはもう絶対おいしくなるなとわくわくしました。

プリップリのブルーベリーたちが、とってもかわいいです。

これをオーブンで30分ほど焼きます。

焼いている途中からとってもいい香りが部屋中に漂ってきます。

焼きあがりました!

オーブンの中で、ブルーベリーが熱されてプクプク動いているのが見えました。

今すぐ食べたい気持ちを抑えて、粗熱を取ってから冷蔵庫で一晩寝かせます。

翌日はこんな感じで、ブルーベリーとソースがいい感じに馴染んできています。

さっそく切って、夫と一緒に実食。

生地はサクサク、ブルーベリーの甘酸っぱさとヴィーリのソースが完璧な相性で、とってもしあわせな気持ちになりました。

自分の手で摘んだブルーベリーで作ったから、一層おいしく感じます。

わたしたちが自然と共存しているということ、自然に恵みをいただいて生きるんだなぁということを実感しました。

ブルーベリー摘み、とてもクセになってしまう楽しさなので、また夏のうちに行きたいと思います。

はじめてのブルーベリー摘みで学んだこと

ブルーベリー摘みは思ったよりもハードルが低く、初心者向けだと感じました(とはいえ油断は禁物ですが)。

最低限必要だなと思った服装と持ち物は、こんな感じです。

  • 服装
    長袖・長ズボン・スニーカーなど、肌を露出しないもの(蚊やマダニから身を守るため)
  • 持ち物
    スマホ・ブルーベリーを入れる容器・ウエットティッシュ(+半袖で行く場合は上着)

ベリーピッカーはあってもいいけれど、なくても全然いいなと思いました。

あとは、写真のとおり手が紫になってしまうので、ウエットティッシュがあると便利です。

ブルーベリーの木の葉っぱの形をもう覚えたので、ひとまず森に行って、足元を見てみればすぐにわかるようになったのでよかったです。

きのこ摘みは毒キノコなどもあって素人が独断で行うのは危険ですが、ブルーベリー摘みは要領を掴んだので趣味のひとつにしたいなと思いました。

ただし、マダニ・ヘビ・蚊や迷子には要注意です!

きつね

是非みなさんもブルーベリー摘みに行って、フィンランドの夏の恵みを満喫してください!

2件のコメント

初夏のフィンランドいいなぁ〜
2月にしか行ったことがないのであこがれます(もちろん冬景色も好きですが)。
またオーロラを見に行きたいと思っています。
コロナが収まってくれることを祈って。

ガクさん
コメントいただき、ありがとうございます(^^)
初夏のフィンランドは、本当に天国のように感じます。
(きっと冬の辛さを知っているからこそ、美しさが増すというのもありますが…!)
四季それぞれの美しさがありますが、やはり夏は見るものすべてがキラキラして見えます。
オーロラ、いいですね!うらやましいです!
コロナが一日も早く終息し、自由に旅行ができるようになることをわたしも心から祈っています。

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