フィンランド人写真家、サンナ・カンニスト(Sanna Kannisto)さんの作品展がヘルシンキのKaapelitehdas(カーペリテヘダス)内にあるSuomen valokuvataiteen museo(フィンランド撮影美術館)で開催されていることを知り、少し前に行ってきました。
コロナウイルスの流行を受けて美術館はすべて閉鎖していましたが、6月1日から再開したので、アートに触れるのは約3ヶ月ぶりでした。
この作品展は2020年6月10日~9月13日まで開催中です。
サンナ・カンニストさんとは
サンナ・カンニストさんは、フィンランドのハメーンリンナ出身の写真家で、2015年にはフィンランド写真芸術賞を受賞しており、フィンランドを代表する写真家のひとりです。
彼女はコスタリカに拠点を持ち、そこで熱帯雨林ならではのユニークな生き物たちを撮影しています。
最近ではフィンランドのハンコにもスタジオを持ち、北の渡り鳥を撮影してるそうです。
彼女はアーティストであると同時に研究者でもあり、生物学者たちと密接に協力して撮影を行っています。
生物学者たちが自然の中で捕まえた鳥を一緒に観察し、そのあとこのような木の枝などをセットしたネットの中に放ち、撮影をしていました。
鳥やちょうちょなどの生き物は、人間のモデルのように指示されたところにとまったりポーズをとったりしてくれないので、想像を絶するほどの根気がないとこのような美しい一瞬を切り取ることはできないと思います。
彼女の自然の中の多様性への強い関心、そして自然を観察したいという強い願望が作品から伝わってきます。
過去最大規模の作品展「Sense of Wonder」
今回の作品展「Sense of Wonder」は、サンナ・カンニストさんの20年間のキャリアの中で最大の作品展です。
入り口の説明書きは、フィンランド語・スウェーデン語・英語で書かれていて、まだフィンランド語でこんなに難しい文章が読めない外国人としてはとてもありがたいです。
白を基調とした広々とした会場に、様々な大きさのかわいらしい作品たちが飾ってありました。
これらの作品、どうみても写真にしか見えないのですが、係員の方の説明によると写真をペイントに起こしているそうです。
羽の柔らかさ、枝に生えたしっとりとした苔、鳥の潤った瞳などの質感がとてもリアルで、写真ではないと聞き驚きました。
ひとつだけ、ちょうちょの作品もありました。
自然の中から切り取った瞬間の美しさは、どんなに人間のアイディアやセンスを結集させた作品にも勝てないと感じました。
扇子のように美しい羽をはためかせて、鳥が木の枝にとまる一瞬をとらえた作品。
左の作品は松の木とスズメの組み合わせがなんとも日本らしく、右の作品はフィンランドらしいなと思い、この並びに心がほっこりとしました。
サンナ・カンニストさんの日記も飾られていました。
彼女の日記が展示されるのは、今回の作品展が初めてだそうです。
大気汚染や地球温暖化により絶滅してしまう生き物がいたり、熱帯雨林の自然は日々刻々と変化しているということも作品から伝えられていました。
この作品展を通じて自然の美しさに感動すると同時に、このような美しい自然、生き物たちを守るために自分には何ができるか、何をすべきかにまた考えさせられました。
自然の中から切り取った一瞬の美しさをしみじみと愛でながら、環境にも想いを馳せられる作品展でした。
とてもおすすめなので、期間中機会があれば一見の価値ありです。
ミュージアム情報
- 名前
Suomen valokuvataiteen museo - 電話
+358 9 6866 360 - ホームページ
https://www.valokuvataiteenmuseo.fi/en - 営業時間
火 – 日: 11:00 – 18:00
水 : 11:00 – 20:00 - 料金
大人: 10ユーロ
18歳以下:無料
(毎月最終水曜17:00 – 20:00は全員無料) - 住所
Kaapelitehdas, Tallberginkatu 1 G, Helsinki
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