今回は、日本の運転免許証をフィンランドで運転ができる免許証に切り替える手続きについてご紹介します。
まず、ふたつの大切な条件があるので要注意です。
- フィンランドでの居住開始から2年以内
- 日本の運転免許の有効期限が切れる前
もし運転免許証の有効期限が切れているか既にフィンランドに2年以上住んでいる場合は、フィンランドで運転免許試験に合格する必要があり、結構大変そうなので移住後早めに手続きをしておくのがよさそうです。
以上の条件をクリアしている場合、必要な手続きは以下のとおりです。
- 日本大使館に自動車運転免許証抜粋証明を作成依頼
- 病院で診断書の取得
- 証明写真2枚準備
- Ajovarmaで申請時間予約・書類提出
- 日本大使館経由で日本の運転免許証の受け取り
わたしは最近急に目が悪くなってしまい、手持ちのコンタクトレンズとメガネの度数が合わなくなってしまっていたので、メガネも作る必要がありました。
これについては、最後におまけとして書いています。
ちなみにフィンランドでの運転で求められる視力は両目で0.5とのことでした(日本は0.7)。
1. 日本大使館に自動車運転免許証抜粋証明を作成依頼
なんだかややこしい名前ですが、つまりは「日本の運転免許証を英語・フィンランド語に翻訳したもの」です。
こちらは自分で翻訳したものは無効なので、大使館に作成依頼する必要があります。
在フィンランド日本大使館のホームページのこちらに詳細は書いてありますが、
- 自動車運転免許証抜粋証明交付申請書
- 日本の運転免許証
を提出して、申請します。
大使館のホームページには書かれていませんが、提出時・受け取り時と2回大使館に出向かなくても、あらかじめメールで書類を提出して仮申請し、証明書が出来上がり次第受け取りに行くことも可能です(そういうこと親切に書いてよ、大使館さん…)。
申請から3営業日後に出来上がるとのことでしたが、今はコロナウイルスの影響により、大使館に訪れる際は事前に予約をする必要がありました。
そこで「書類作成完了したので受け取りに来てください」というメールを受け取ってから予約をして受領に行ったのですが、なんと忘れられていたようで出来上がっておらず。
もらったメールを見せつつ、どういうことかと聞いたのですが、対応が非常に悪くて実に不愉快でした(なぜかわたしが責められ、謝罪なし)。
結果としてなんとか当日仕上げてもらったのですが…大使館の対応にはいつも問題ありです。
最近は新しい職員の方に変わって、とても丁寧にご対応頂けるので助かります。
料金は、17ユーロでした。
2. 病院で診断書の取得
運転をするのに問題のない健康状態かを証明するために、診断書を提出する必要があります。
2020年6月中旬に、いつもお世話になっている公立病院のヘルスケアセンターに電話したところ、今はコロナでそれどころじゃないので、そういった予約は受け付けていないので私立病院に行ってください、と言われてしまいました。
そこでインターネットで検索し、Kamppiにある私立病院で予約しました。
この病院探しに少し苦戦したのですが、基本的に「lääkärintodistus(診断書)」「ajokorttia varten(運転免許証のための)」、そしてお住まいの都市名をGoogleの検索バーに入力すればヒットすると思います。
検査内容は主に
- 視力検査
- 血圧検査
- 持病・病歴・服用中の薬について問診
でした。
視力検査はとても簡易的で、「その辺に立ってください」と言われ、壁に貼ってあるあの下に行くにつれ小さくなるのCの字の表(「ランドルト環」というそう)を見るのですが、片眼を隠すときは自分の手で隠すよう言われ、あまりにアナログで笑ってしまいました。
聴力検査はないのかと聞いたら、こうして普通に会話ができているので大丈夫とのこと。
そしておもしろかったのが、突然白紙とペンを渡され、「ここに10時10分の時計の絵を描いてください」と言われました。
いきなり言われるとうまく描けるか不安でしたが、普通にクリア。
これは記憶力などの検査ということで、お年寄りなどは何度も聞き直したり、描けないこともあるそうです。
とてもフレンドリーな先生で、フィンランド語の難しさなどについても談笑し、20分弱で終了。
帰りのエレベーターでよく診断書を見直したらわたしの名前が間違っていたので、もう一度作り直してもらいました。
料金はホームページには80ユーロと書いてあったのですが、そこに外来診察費というなぞの費用などが加算され、合計102.85ユーロでした。
このペラペラの紙1枚に100ユーロか…と思いつつ、失くさないように慎重に持って帰りました。
3. 証明写真2枚準備
街の写真屋さんで、「運転免許証用のサイズをお願いします」と言って証明写真を撮ります。
わたしがいつも行くお店では店員さんがカメラで撮ってくださるのですが、10分ほどで終了。
料金は24.90ユーロで、写真6枚と電子ファイルをもらいました。
4. Ajovarmaで申請時間予約・書類提出
以前は免許に関する手続きは警察が担当していたようですが、現在はAjovarmaという企業に移管されています。
必要書類が揃ったところで、インターネットでAjovarmaでの申請時間のアポイントを取ります(「Exchanging foreign driving licence for a Finnish licence」を選択)。
わたしはアポイントより早く10分ぐらい早く着いてしまいましたが、受付番号を取ったらすぐに対応してくださいました。
そこで、用意していた
- 自動車運転免許証抜粋証明
- 診断書
- 証明写真2枚
- 日本の運転免許証
を全て提出し、更にAjovarmaのフォームにその場で記入して提出しました。
あとは代金の35ユーロ(2021年からは37ユーロに値上がり)をお支払いすると、小さい紙きれの仮のフィンランドの免許証をもらうことができます。
2~3ヶ月後に決断が下り、OKの場合はフィンランドの免許証が発効されるとのことでした。
このとき日本の運転免許証を没収されますが、安心して大丈夫です。
わたしはAjovarmaの担当者に「日本の免許証は返してもらえるんですか?」と聞いたら「返せない。法律で決まっている」と言われてかなり慌ててしまい、日本大使館に問い合わせました。
すると「通常は没収だが、日本では免許証は身分証明書としての役割が大きいので、特例で、日本大使館を通じて返却してもらえることになっている。Ajovarmaの担当者でこのことを知らない人もいるが、ちゃんと返って来るので大丈夫。」と教えて頂きました。
5. 日本大使館で日本の運転免許証を返却してもらう
Ajovarmaでの手続きから約3ヶ月後に日本大使館からメールが来て、日本の運転免許証が返還されたので、受け取りに来るか、郵送を希望するか選ぶことができました。
同時期にフィンランドの運転免許証も届き、これで無事フィンランドでも運転ができるようになりました。
有効期限は15年。
とはいえわたしは筋金入りのペーパードライバーなので、車の入手や運転の練習などをしなくてはならないのですが、いつかやらなきゃとずっと思っていたことをやっと済ませたのでスッキリしました。
わたしの手続きにかかった金額は、合計179.75ユーロ(約21,600円)でした。
各種料金の改定や、診断書をもらう病院によっても変わってくると思います。
おまけ:メガネをつくる
目がいい人、持っているメガネやコンタクトの度が合っている人はこのステップは不要です。
わたしは普段はコンタクトレンズ、家ではメガネです。
移住直前に日本でコンタクトレンズを2年分と新しいメガネを作ってきたのに、もう度が合わなくなってしまい、結構困っていました。
そこで重い腰をあげ、ひとまず免許のためにメガネを作ることにしました。
メガネ屋さんはたくさんあるので、好みのメガネがあるお店を探します。
リーズナブルなノーブランド中心のお店から、ブランドものばかり揃えているお店まで色々です。
わたしはSilmäasemaというお店にしました。
メガネを選んでいて思ったのですが、フィンランドで売られているメガネは鼻の高い西洋人向けに作られているため、顔平たい族のわたしは鼻パッドが全然フィットせず、数少ない鼻パッド独立型タイプの中から選ぶしかないのです。
しかしざっと見たところ70%ぐらいがプラスチックのフレーム一体型タイプなので、かなり選べる範囲が狭まりました。
更に丸顔のわたしに似合うメガネはあまりなく、顔の平たさと丸さを憎みました。
日本ではいつもZoffなどで作っていたので、すぐに出来上がるのが当たり前になってしまっていました。
しかし今回はこのようなステップでした。
- 好みのメガネを見つける
- メガネの処方箋を出してもらうための視力検査の予約をする
- メガネが出来上がるのを待つ(検査から4週間後)
メガネ屋さんに行った当日に検査の空いている時間があったのですが、「コンタクトを外してから12時間以上経っていないと検査ができない」とのことで、次の空き時間がある2日後になってしまいました。
日本では全く問題がなかったので、厳密なんだなぁと思い言うことを聞きました。
視力検査に加えて、わたしは目が悪くなったのが心配なので一応眼科にも行くようにと言われました。
あとはレンズの厚さやコーティングを選び、目の位置や鼻の高さを確認して、1時間弱で完了。
一応2年以内に壊れても、修理代金が25%負担になるという保険にも入っておきました。
この情報が、どなたかのお役に立てればうれしいです。